メリットとデメリットを整理しましょう
妊娠は病気ではありませんが、ホルモン変化や重心のズレで転倒リスクが高まる大切な時期です。短距離の移動にバイクを使えば「徒歩より楽に荷物を運べる」「公共交通機関の混雑を避けられる」などのメリットがあります。反面、転倒時の衝撃は自転車より大きく、事故に遭った場合は母体・胎児ともにダメージが深刻になりやすいと産婦人科医も指摘しています。
振動については研究例が多くないものの、職業的に強い全身振動に長時間さらされるケースでは早産や妊娠高血圧症のリスクがわずかに上昇した とするコホート研究も報告されています。急ブレーキや急ハンドルで腹部に力が入る場面が多いことも踏まえ、アメリカ産婦人科学会(ACOG)は妊娠中の運動として「転倒・衝突リスクの高いアクティビティ」を避けるよう推奨しており、オートバイはこれに該当すると考えられます。
安全に乗るためのチェックポイント
医師と相談して許可を得る
切迫早産や前置胎盤がある場合は運転を控えます。定期健診のたびに状況を報告しましょう。
速度は控えめ、路面環境を選ぶ
段差や未舗装路は極力避け、雨風の強い日は乗らないのが鉄則です。買い物ルートなど交通量が少ない道を選ぶと安心。
装備はワンサイズ上を
お腹を締めつけないプロテクター付きジャケット、伸縮性のあるライディングパンツを選びましょう。胸部プロテクターはソフトタイプを使うと圧迫感が軽減します。
走行は30分以内、こまめに休憩
長時間同じ姿勢を続けると血流が滞ります。1回20〜30分を目安に区切り、休憩時は軽いストレッチでむくみを防ぎましょう。
転倒リスクが上がる後期は“降りどき”
妊娠7カ月(24〜27週)以降は重心が前方に移動し、取り回しでフラつきやすくなります。四輪や公共交通へ切り替える計画を立てておくと安心ですが、最終的には主治医と相談して判断 しましょう。
保険と万一の備え
人身傷害補償の確認
任意保険に人身傷害補償を付帯していれば、万一の医療費を幅広くカバーできます。胎児の治療費が対象になるか、保険会社へ事前に問い合わせておくと安心です。
ロードサービス選び
エンジントラブルやタイヤパンクで立ち往生すると、搬送先が限られる妊婦には大きなストレス。自宅までの搬送距離が長いプランを選んでおくと心強いです。
緊急連絡カードの携行
マタニティマークとともに、緊急連絡先・妊娠週数・血液型を記載したカードを財布やスマホケースに入れておくと、もしもの際に医療機関への情報伝達がスムーズになります。
バイクを降りた後の代替手段と産後のリスタート
バイクを手放す時期が来たら、電動アシスト自転車やカーシェアが便利です。サイクリング(エアロバイク含む)は有酸素運動として適切とされますが、屋外走行は転倒リスクに十分注意が必要。公共交通機関を利用する場合はラッシュを避け、必ず座れる区間を選びましょう。
産後のライディング再開は、産後健診で問題がなければ早い人で6〜8週から軽い運転が可能とされています。ただし授乳による睡眠不足やホルモンバランスの変化で集中力が落ちやすい時期。最初は近所の買い物ルートからゆっくり慣らし、車両重量の軽い125ccクラスに一時的に乗り換える方法もおすすめです。
妊娠中のバイクライフには、便利さとリスクが隣り合わせで存在します。「どうしても今は必要」というケースでも、医師の許可と安全対策を最優先に。お腹の赤ちゃんと自分自身を守りながら、ライダーとしての時間を上手に切り替えていきましょう。